世界は推しでできている

若手俳優を推しているおたくの独り言墓場

『アイ★チュウ ザ・ステージ』という新ジャンルと原作おたくの存在について

ご縁があり、先日千秋楽を迎えた『アイ★チュウ ザ・ステージ』を観劇してきました。

初見時はとても戸惑いました。

事前に公式からも「参加型」舞台だとはアナウンスがあったし、あらすじも以下のような感じで、客席の投票がその日のエンディングを左右するということは把握したうえで劇場に向かいました。

 アイドルの卵を育成する「エトワール・ヴィオスクール」に通う、アイドルになっていく途中の「アイチュウ」たち。その三期生のF∞F、Twinkle Bell、I♥B、ArS、そして特別ゲストとして二期生の華房心が、会場のお客さんのリアル投票によってその順位が決まる、新人アイドルコンテストに参加することになる。優勝者にはオリジナル曲が贈られるという。仲間同士で競うのは嫌だと思う星夜だが、トップアイドルになるためには通らないといけない道だと自分を奮い立たせる。ところが、その新曲の手書きの楽譜が会場内で紛失!楽譜はどこへ?優勝は誰の手に?!どうなるこのコンテスト!!!

アイ★チュウ ~ アイ★チュウ ザ・ステージ ~ special website

ところが、想像以上に参加型だった…!初見だった東京初日では、完全に置いて行かれまして、(お…まじか…こんな参加するのか…)となってしまって、完全にきょとん顔で終わりました。なんだか特になんの感情を動かされることもなく、2時間半が終わっていたんです。

そのときの正直な感想としては、「この手の舞台、あんまり相性よくないな」でした。

 

では、次に千秋楽を迎えたあとの私の心の声をお聞きください。

「あああああああアイステさいこううううううううう愛してる!愛してる!アイチュウたちみんな愛してる!がんばったね!プロデューサーおばちゃんが養ってあげるからあと500回公演やって~~~~~~~~」

 

わあ、ちょろい。というか、ひどい。これが俗にいう手のひらなんちゃらですね。でも、もともとある程度好意的な気持ちで観劇していたので、手のひら返しってほどではないですかね。

というか、これじゃ何もアイステージ(推奨)の良さが伝わりませんね。

 

あらすじは先程の引用の内容をご参照ください。まず投票システムについてざっと説明しますね。

まず入場時に1人1票のタグを渡されます。1幕では日常パートやなんやかんやがあって、コンテストの予選が開催されます。予選自体は、裏でパフォーマンス順をくじびきで決めました的なVTR演出が流れた後、その順番で5ユニットが予選曲を披露します。

ArS→I♡B→Twinkle Bell→F∞F→華房心

このパフォーマンスを見て良かったと思うユニットに、休憩中に投票します。(ロビー死ぬほどこんだよ!!!くさい!!!)

 

2幕では、予選の得票数と順位が発表され、票数の少ないユニットから順番に本選で曲を披露することになります。つまり予選最下位のユニットから順に歌っていきます。

その後、dB計測器が取り付けられたガンマイク(!!!)がステージ中央に登場します。

そうです、これで優勝ユニットを決めるんです。各ユニット10秒間与えられて、その間の客席からの声援のdB最高値で1位が決まります。後ろのモニターにdB数がガチで表示されていて、持ち時間のラスト3秒くらいは隠される演出が入りますが、体感としてはガチで結果が決まっています。

そして1位に輝いたユニットだけが、コンテストの優勝賞品である舞台オリジナル曲を歌う権利を得て、お披露目&エンディングとなります。

 

原作キャラの人気、キャラの濃さ(舞台映えする個性があるとやはり強い印象)、ユニットの人数(1人〜6人)、キャストオタクの人数、その回のアフタートークのメンバーなどいろんな要因が絡み合いながら、毎公演優勝ユニットが決まっていました。とても楽しく、とてもつらい公演でした。推しがいたらつらくて死んじゃう。

キャラクターやユニットの特色として、強いファンサができたり客席を煽りやすかったり、逆にそういう見せ場をつくりにくいキャラもいたりで、どうしても結果が偏ってしまうし、本気で悔しそうなキャストたちを見るのはなかなかつらいものがありました。どこが優勝しても、みんな称え合っていて素敵なんですけどね…。とりあえず全公演を通じて全ユニットが最低2回は優勝できたのは本当によかった。でもとても心臓に悪い公演でした。

 

さらに、客席参加っていうのはこれだけじゃないんです。

ライブパートはどんどん声出して行こうぜ!というスタンスの作品で、「声出すかどうか迷ったら出してください!どんどん出してください!」というアナウンスがあるレベルで声を出す舞台です。

ここはキンプリ応援上映会場か?

初日、そう思いました。

だって、コールアンドレスポンスでスクリーンに我々がレスポンスするべきコールが表示されるんですよ。

先頭バッターの桃井恭介くんを例にとると、

(恭介)「〆切終わった〜〜」

(客席)\桃井先生お疲れ様ー!/(これがスクリーンに表示される)

こんな感じです。(内容は原作準拠のセリフなどです)

かなりガチで叫ぶことが要求されます。予選曲披露前に、ユニットごとにメンバー紹介を兼ねたこのコルレスが入ります。

 

コルレスで喉を準備体操し、曲中も合いの手や声援を全力で送り喉を温め(ときどき私は温存した。喉もたねぇよ)、決選投票で全力振り切った声で叫ぶ。

 

いや〜〜すごい舞台だった。

舞台観劇で喉死ぬという初めての体験をしました。いくつになっても、初体験ってあるもんなんですね。

 

双方向な感じなので、最後は「もっとみんなの近くに行くぜ!」っていって、歌うわけでもなく客席を練り歩く時間まであるんです。

だから、次回*1は通路横確定割高チケ出してくれまじで頼むな運営ちゃんよ。

 

原作自体が、特定のキャラ同士で絡みが濃いこともあり、その人達のCP厨みたいなおたくは正直うざかったです。キャスト側もわかったうえで過剰サービスしているような節もあり、その都度鼻息フンフンしながら心の声が口からでちゃっている人が何度か周辺に座っていました。

演技パートはもちろん通常の観劇マナーの範囲内での観劇なんですが、上記のようにライブパートでものすごく声を出すので、そのまま劇場を映画館と勘違いしちゃったのかな?という原作おたくらしき人たちをお見かけしました。

観劇マナーは守ろうね(にっこり)

 

さて、ここからはなぞの考察めいた、ひとり思考がはじまります。

 

アイステージ(推奨)は、1月の原作アプリのファンミーティングで、舞台化がサプライズ発表されました。その発表と同時に、キャラビジュアルのキャストが登場し、各グループの持ち歌を振付込みで突然披露するという、ものすごいお披露目スタイルでした。

もちろん会場には舞台化地雷の人もいただろうと思いますが、原作ファンしかいない場所でこれをぶっこむことにした判断もやばいし、原作おたくしかいない場所に突然出ていくことを求められたキャスト陣の心臓を思うと、異様なプレッシャーがのしかかったことは想像に難くありません。

(同制作の某俳優アプリも題材的に舞台化マストな気がするので、この手のサプライズ発表は心しておいた方がいい気がしました)

でもこのシークレット出演によって、一定数の原作オタクが、キャラもある程度作り込んでから出てきたキャストに感動して、舞台にも実際にきていたし、同じおたく仲間にダイマ活動を熱心にしている姿を見かけました。

この手法が良いか悪いかはおいておいて、ひとつの事例としておもしろいなと思いました。

 

ここ数日話題になっている、2.5界隈でトップあたりに名を連ねる方たちが出たのにも関わらず空席もあった2.5作品云々の話を聞いて思ったのです。その俳優の本当のおたく(自称だけの茶の間などではなく、それなりにお金を使うし、ナマの演技を観るために入る人)は、それがチケットくそ取れない2.5だろうと、客席がホラーな2.5だろうと、ストプレだろうと、行くのです。

でもこの一件で明らかになったように、特定の作品でなくても劇場に足を運ぶおたくの人数なんて、これだけ名前の売れている人だって満員にするには及ばない人数なんです。

原作がある作品の場合、やっぱり原作を応援して支えてきた人たちを、どれだけ劇場に呼べるかも大事な気がしました。若手俳優のおたくとしてやるせない事実ですが、飽和状態の若手俳優界で、ひとりのそこそこの若手俳優が呼べるおたくの人数なんてたかが知れているんです(つらい。すごくつらい。行けないとかクソリプ送っている暇があったらその時間を労働にあててチケット買って劇場に入ろうな、本当に)

 

アイステージ(推奨)も、楽日以外は満員とはいえなかったし、必死に特典やハイタッチやらを追加してチケット売ろうとしていました。でも、これがシークレットお披露目もなく、出来の悪い(と私は感じた)ビジュアル解禁だけにとどまっていたら、もっと空席が目立っていたように思います。

 

なにが言いたいのかわからなくなりました。ただアイステージ楽しかったうけるって書きたかっただけなんですが、どうしてこうなった。

 

某Bもアイステージもたまたま観るご縁があったので、どちらがいいとか悪いではないし、原作オタクと若俳オタクは一生殴り合うしかないとは思いつつも、やはり双方のおたくがいないと成り立たないのが、2.5次元舞台ゆえの2.5次元性なのかなと思いました。

 

ちなみにこの2作品、どちらもアイドルの違った側面を描いていたし、デビュー済みプロアイドル達と、アイドルを目指す夢のト★チュウなアイチュウ達の視点の違いなど、別作品ではありながら共通する要素も多かったので、なんだか興味深かったです。

 

アイステージはちょうど1年前の2016年の9月ごろにオーディションだったそうです。キャストのみなさん1年間お疲れ様でした。2月公演の出演グループとキャストはまだ出ていませんが、そのまえにLiveも決まっているし、案外このままじわじわとシリーズになるのかしら。

声だすのとても斬新で面白いスタイルだったので、お家芸的にまたやったらいいな。キャストに推しがいたら、心が死にそうだけど、なかなかおもしろかったので、みなさんもご縁があったらぜひどうぞ!!!

*1:2月に公演が決定しました